東京国際空港D滑走路における動態観測
2010年10月、東京国際空港の4本目となるD滑走路が新たに供用開始されました。国際線も乗り入れる事で国内線から国際線への乗り換えといった利便性の向上や、地域経済の活性化、都市機能の国際競争力強化が見込まれています。
新しい滑走路は、多摩川の河口、東京湾の洋上に建設され、その構造は埋立・桟橋を組み合わせた日本初のハイブリッド構造であり、それと現空港を結ぶ連絡誘導路から成る。埋立部は軟弱な地盤における圧密沈下を防ぐために地盤改良を行なった後、土砂を盛土して形成されており、桟橋部は杭長が約100m 近くある鋼管杭を決められた間隔で海中に埋め込み、その上に鋼製のジャケットを据付ける事で、多摩川の通水性を確保する環境に配慮した形で建設されている。この多用な工法によりそれぞれの構造物が異なることから、埋立部・桟橋部をつなぐ接続部や桟橋部・連絡誘導路部の継ぎ目において経年変化による変位・沈下が想定され、特に地震時の変位量の把握がD 滑走路の運行・閉鎖の判断材料の一つとなるため、正確にデータを取得する必要があります。
この複雑な構造特性を持つこの滑走路上に21点の観測点を設置し、供用開始からの経年変化と地震発生時の動的な変動を監視することを目的としています。