デジタル技術を活用した建築現場での新たな施工管理の取り組み

Customer Case Study - 事例

Surveying with MS60

ゼネラルコンストラクターである大日本土木株式会社では、建築現場での施工精度の担保と施工管理の生産性向上を目的に2022 年7 月にライカジオシステムズ社製スキャナー搭載型トータルステーション「Leica Nova MS60 (以下、MS60)」を導入。過去に導入済の同3D レーザースキャナー「Leica BLK360 G1(以下、BLK360 G1)」やマニュアルトータルステーション「Leica Flexline TS07 (以下、TS07)」を併用し、従来法から脱却した新たな施工管理方法を実践している。
そこで、現場の状況に応じて各機種を組み合わせながら、高精度施工と施工管理の効率化に成功した4 つのアプリケーションの事例を紹介する。

 

アプリケーション①【鉄骨建て方精度管理】

従来の鉄骨建方計測は、XY 方向から2 台のトランシットを用いて、1 名もしくは2名の職員で鉄骨側面にスケールをあて、倒れを測定し、建方精度の管理を行っていた。
現在は、トータルステーション(以下、TS)を使用して、職員1 名で鉄骨建方の精度管理を行っている。
TS での鉄骨測定作業は、ノンプリズム計測と後方交会の器械点設定法を組み合わせることで建入れ精度確認作業を行うことができるため、1 名での作業となり作業効率の向上を図ることができる。
鉄骨の位置精度確認は、TS で測定した柱表面の座標値と設計の座標値の差として画面に表示されるため管理が可能である。

laser point exactly on a layout design on a pillar
(画像1)ノンプリズムによる測定状況(柱芯は事前にマーキングを行っている)

Surveying with TS
(画像2)TS による測定状況

Realtime display of  error on TS
Realtime display of error on TS
(画像3)TS 画面上でのリアルタイムの誤差表示

アプリケーション②【地形測量】

従来の掘削土量の算出は、設計図の現況図を基に行うが、すべてのレベル記載がないため、算出者によって差異が生じることがある。また、事前踏査できる場合において、オートレベルを使用して2 名で測定をし、原設計のデータに新たなレベルを付加して掘削土量の算出を行っている。
MS60 は、スキャニング機能があり点群データにより正確な地形データを取得できる。また、同様に点群測量機能を持つBLK360 G1 を併用することで、広大な範囲においても短時間で効率的に点群データを取得できる。データ解析においては、高度に解析できるソフトウェア「Leica Cyclone 3DR」(以下、Cyclone 3DR)を使用して莫大なデータから土量の算出が可能となった。さらに得た3Dデータから断面図を作成し、他の計画にも有用なデータとして活用できる。以上の計測は、1 名かつ正確な土量の算出を行えることから作業の効率化及び数値の精度向上を図ることが可能である。

Soil volume calculation by Cyclone 3DR
(画像4)Cyclone 3DR による土量算出図(黄色:現況面 赤色:設計面)

アプリケーション③【コンクリート打設時の平滑度確認】

従来のコンクリートスラブ打設レベル確認は、土間工が回転レーザーを使用していることが多い。しかし、レベル確認→天端調整→レベル確認とひとりで複数の動作を行うためレベル誤差が生じることがあった。そこで測定したいコンクリート打設箇所にMS60 より照射されるレーザーでリアルタイムに測定を行った。
MS60 は照射によりレベルを即座に測定できるため、土間工と密に微調整を安易に行えることから精度向上を図ることができる。コンクリート打設後のレベル確認においては、MS60 のスキャニング機能やグリッドスキャン機能を用いて計測を半自動化でき、従来のレベル確認と比較しても省人化を図ることが可能である。

Rotating laser level installation (conventional method)
(画像5)回転レーザーレベル設置状況(従来方法)

Remote catcher usage (conventional method)
(画像6)リモートキャッチャー使用状況(従来方法)

MS60 Installation and laser pointer irradiation (current method)
(画像7)MS60 設置及びレーザーポインタ照射状況(現行方法)

Level error indication status by monitor (current method)
(画像8)モニタによるレベル誤差表示状況(現行方法)

Heatmap-based formwork assessment chart using Cyclone 3DR (current method)
(画像9)Cyclone 3DR を使用したヒートマップによる出来形評価図(現行方法)

アプリケーション④【Leica Infinity を活用した工事測量】

建設現場での工事測量や基準点の作成は、ミリ単位の精度が求められる重要な作業であり、その際活用しているのがLeica Infinity 測量ソフトウェアである。
Leica Infinity の利点は、TS とGNSS 観測データを統合的に処理できるソフトウェアで、精度管理や3 次元網平均計算、ローカリゼーションなど多彩な機能を備えており、データの品質確認や計算が効率的かつ正確に行えることにある。このソフトウェアの導入により、基準点の座標精度が向上し、精度管理や分析の迅速化が実現可能となった。また、これまで信頼性に課題があった後方交会などの測量方法についても、高精度な測量に自信を持てるようになった。

Creation of 3D nets of reference points for surveying at construction sites
(画像10)建設現場における測量の基準点の3D 網の作成作業

まとめ

当社は積極的に社員に対して外注頼りのみにならないよう多様化及び高度化しているICT 測量機器の使用の普及を行っている。従来の方法でも十分な施工管理を行うことができるが、働き方改革が進行中において、現場管理で測量にかけられる時間をさらに削減していく必要がある。しかし、今までと同様の精度管理は必要であり、すべて外注のみで完結できるものでなく、さらなる管理能力の向上を図っていくことが重要である。その中で、今回紹介したICT 測量機器は、建築現場にて測量時間削減及び精度管理を両立できるツールとして期待しており、今後も活用を図っていく。

Building Solution Team at Dainihon Doboku
大日本土木株式会社 建築本部建築技術部の皆様

事例

世界中のお客様が当社の様々なソリューションを活用してスマートな変革を起こしている様子をご覧ください。
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