設備機器の搬入前に3Dスキャナーを活用して発電プラント内で衝突リスクを回避

米国ワイオミング州の火力発電所では4つの発電ユニットから毎時2,110メガワット(mW)を発電し、100万人以上の住民に電力を供給しています。地域住民にとって重要な発電所となっており、EPA(米国環境保護庁)の規制に対応するために行う新たな排気ガス制御システムの設置工事で、失敗することは許されませんでした。

発電所内で構造用鋼管が多くのスペースを占める中で、排気ガス制御システムの多くの主要な設備は発電所の鉄骨の上に設置しなければなりませんでした。本プロジェクトのマネージャーとして担当をアサインされた設備施工会社のジョセフ・ギッドカム氏は、既存設備との間で干渉が起きる可能性が高いことを察知していました。そのため設備の新設工事で問題が発生しないよう事前に綿密に計画し、システム機器を事前に組み立て、既存の設備機器との干渉を避けるためには、工場の現況データを高い精度でキャプチャする必要がありました。しかしながら手作業で設置面積を計測するには時間がかかるだけでなく、現場で作業員が計測ミスをして多数の問題を引き起こしてしまうリスクを回避することは事実上不可能でした。さらにこの問題を解決するためには、新設する機器が干渉する可能性を回避するための予備範囲を広めにとり、設置する際に問題が生じないよう対策を必要としていました。一方でこれらの対策をおこなうために生じた変更により、設置工期が伸び、コストが数十万ドルも膨れ上がってしまう可能性もありました。さらに問題が複雑なことに、施工会社は高所にアクセスするためにリフトを借りる必要もありました。この作業はもちろん労働安全衛生管理(OSHA)の研修を受けて安全性を確保した上で行わなければなりませんでした。

なぜレーザースキャナーがこの業務に適していたのか
「この発電所内には無数の構造用鋼管があったため、150フィート(約46メートル)の高さの構造物の中で針を通すような作業が必要でした」と、このプロジェクトで施工会社と協業したTruePoint Laser Scanning社の社長のライアン・ハッカー氏は述べています。「施工会社は、そこに新たな設備機器を搬入しようとしていたので、新設する機器が既存の設備と干渉しないことを確認するためには、レーザースキャナーを使う以外に選択肢がありませんでした。」

施工会社にとってレーザースキャナーの使用は初めてのことで、ギッドカム氏と彼のプロジェクトメンバーは、収集されたデータが正確であり、必要な情報が提供されるという安心感を必要としていました。バーチャルの設計チームメンバーは点群データを扱ったことがなかったため、データがどのように見えてどのように使用できるのか、当初は全く知りませんでした。ハッカー氏は次のように述べています。「殆どの施工会社は素晴らしいことを行う新たな製品や技術を多く目にしても、使ったことがない物については懐疑的になります。」

TruePoint Laser Scanning社の経営者は、レーザースキャンによって作成された点群データが施工会社の業務プロセスにシームレスに適合し、必要とするすべての詳細データを提供できると確信していました。さらに、レーザースキャナーは時間とコストも節約します。キッドカム氏と彼のチームメンバーは、レーザースキャンが最良のソリューションであり、データ収集に要するコストがより低いというTruePoint Laser Scanning社からの提言を受け入れ、レーザースキャナーをテスト運用しました。

スキャンと点群データから干渉チェックまで
わずか3日間で48回のスキャニングを2人の技術者だけで実施し、記録と文書化作業を完了することができました。

TruePoint Laser Scanning社は長距離にも対応したレーザースキャナーを必要としていたため、最長300mの距離範囲に対応し、品質の高いデータを収集し、スムーズにデータ処理が行える信頼性の高いLeica ScanStation C10を採用しました。チームの技術担当者はプラント内で複数個所でスキャンしたデータを結び付ける際に目印となるターゲットを設置しました。三脚や、レールやパイプに磁石で取り付けられるベースを使用してターゲットを設置することにより、複数の場所からスキャンして取得した点群データを合成しやすくなります。 技術担当者は各場所をスキャンし、同じ現場の写真をレーザースキャナーで撮影し、設置した各ターゲットをキャプチャしてラベル付けをしました。

これによりわずか3日間で、2人の技術者だけで48回のスキャンが含まれた記録文書を作成することができました。ハッカー氏は、従来の測量器を使用した場合、6人で約3週間かかると作業と推定しました。また、必要とされる工数と人件費に加えて、交通費、宿泊費、食費などの経費を合算すると、コストを大幅に削減できた、とハッカー氏は述べています。

TruePoint Laser Scanning社は、当社のCycloneソフトにスキャンデータをインポートして点群データを合成し、モデリングソフトで使用するためにオートデスク形式(PCG)のファイルにして設計エンジニアに提供しました。さらに、TruePoint Laser Scanning社は現場の全体像を、3次元の点群データと写真画像を重ね合わせたデータ形式にし、当社が提供している無償版のLeica TruViewのソフトを介して設計エンジニアと共有して閲覧できるようにしました。Leica TruViewsを使用すると、設計エンジニアは点群データをさまざまな角度から見ることができ、静的な画像データを見ていた場合と比べて、プラント内の各領域がどのように関連しているかをより正確に知ることができます。 また、プラントの特定のフィーチャを縮小/拡大して詳細データを収集することもできます。

さらに、設計エンジニア会社は別の州に拠点を置いていたため、Leica TruViewsによって物理的に現場に再訪する必要がなくなり、スキャンしたデータを通し必要に応じてバーチャルにプラントを訪れ、現場の習熟度を深めることにつながりました。この仮想訪問の方法により、プラントへ提出する作成物の処理時間を大幅に短縮できました。実際に、設計エンジニアは点群データを受け取ってから3日以内に、幾つかの重大な干渉箇所を見つけ出していました。 ギッドカム氏は、「私たちは今まで見逃していたかもしれない構造用鋼管が干渉する幾つかの箇所を発見しました。これだけでも既にに十分な投資対効果があったと感じています。」と述べています。

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