3Dレーザースキャナーによる殺人事件現場の記録

カンザス州の科学捜査研究所は、殺人事件現場でライカジオシステムズの新しい 3Dレーザースキャナーの使用テストを実施し、従来の手法による事件現場の記録と比べて犯罪科学技術の活用による高い優位性を実証。

2010年の復活祭の日曜日に、カンザスシティ内で発生した殺人の捜査にあたった刑事は、ジョンソン群の科学捜査班の出動と現場検証を要請しました。5名の科学捜査官のスーパーバイザーであるライアン・レッゼル氏にとって、この要請は新たな科学捜査技術を試す思わぬ機会でした。2日前にレッゼル氏はライカジオシステムズから、その当時は最新モデルの3DレーザースキャナーだったScanStation C10を借用し、科学捜査班で事件現場の記録手段としてテスト試用をおこなっていたからです。

「ScanStationの機能を現在のマッピング手法と比較するには、実際の犯罪現場で試して使用するほうがよい思いました」とレッゼル氏は述べました。「そして誰にも邪魔をされることなく現場でスキャンしたデータと、警察が決めた手順に従って交通事故調査班が現場で計測して収集した証拠データをリアルタイムで並行して比較することができました。」

ジョンソン群の科学捜査班が最先端の法医学の測定技術を検討していたことは驚くべきことではありません。群保安官事務所に属している科学捜査班は、カンザスシティの都市部とカンザス州の農村部の両方で、56万人以上の住民が住んでいる地域で捜査をおこなっています。そして、国内で最も先進的で設備の整ったハイテク科学捜査班の一つとしての評価を得ているからです。非常に専門的な法医学がもたらす価値を長らく信じていたフランク・デニング保安官と科学捜査班のディレクターのゲイリー・ハウエル氏は、カンザス州オレーセ市で2012年にオープンした最先端の犯罪科学捜査ラボの設立を後押しした強力な支持者でした。

さらに、この科学捜査班は、ASCLD / LAB(米国を代表する犯罪研究所)の国際プログラム下で、全米で約5%しか獲得していないASCLDの認定書を獲得しています。

科学捜査班の品質保証責任者からScanStationのトライアルの許可を得た後、レッゼル氏と彼のチームは、車の前部座席で射殺された男の死体を中心に事件現場を捜査しました。スキャナーを三脚に設置し、科学捜査員は現場の外部の3回のスキャンと、関連する箇所の写真撮を45分以内で行いました。「設定とスキャン操作は迅速に容易におこなえました」とレゼル氏は述べています。「ライカジオシステムズの担当者が遠隔地からスピーカーフォンでスキャナーの使用方法を私たちに説明し、金曜日に約30分で操作方法を習得できました。」

被害者の死体を車から移動させた後に、捜査班はスキャナーを三脚から外してライカジオシステムズ製の特別なアクセサリーに取付けて車の中央のアームレストに設置し、血まみれの車内を360度スキャンしてデータを取得しました。2回目の360度スキャンは後部座席からおこない、合計5回のスキャンを実施しました。

「我々が驚いたのは、設定からスキャンを完了するまでの作業時間が、60分から最長でも90分しかかからなかったことです」とレッゼル氏は述べました。「トータルステーションとプリズムポール、巻尺、携帯型レーザー距離計、およびローラーテープの器具を使用し、8~10時間かけて点の計測やマーキングをする2名の交通事故の捜査班による作業時間と比較しました。その結果、我々は同じ事件現場をその数分の1の時間で、文字通り何百万点もの点群データで捉えて記録することができました。」

翌日、レッゼル氏はスキャンデータを当社のジョージア州の米国本社オフィスに送り、技術者が5回のスキャンデータをすばやく「合成処理」し、それらを1つの「点群データ」にまとめました。その後、事件現場の3次元のフライスルーとLeica TruView形式の、2つの高価値なデータが生成されました。

通常、当社の3Dレーザースキャナーを購入した警察署では、この手順は当社が開発した警察向けのトレーニングコースを受講した署内の捜査員によって行われます。この作業には全部で5〜6時間を要し、その大部分はPC上での「レンダリング」処理プロセスでした。そして レッゼル氏は金曜日の朝までに、結果データを手に入れることができました。

「この作業を見ていた者達は我々も含めて全員圧倒されました」とレッゼル氏は述べました。「車内からいくつかの優れたデータを取得し、5回のスキャンデータを全てつなぎ合わせて合成することで、有用な証拠を多く記録できました。フランク・デニング保安官はフライスルーの動画に特に感心していました。個人的にも、これは私が長年見てきた犯罪事件現場の中で最も印象的な記録データの1つでした。当初我々はこの記録データを、急いで実施した初のテストデータと見なしていました。しかし結果的には検察官、科学捜査班、弁護士、および現場の再現をする専門家達が、事件現場の様々な事項の関係性について明確な情報を得ることができる成果物を取得することができました。」

国立科学アカデミー(NAS)の委員会である国立研究評議会(NRC)による2009年の報告を受けて、3次元レーザースキャナーは犯罪学においてさらに重要性が増しています。「フォレンジック・サイエンス・コミュニティのニーズの特定 (Identifying the Needs of the Forensic Science Community)」と題されたこの報告書では、一般的にISO 17025と呼ばれる国際標準化機構(ISO)によって公開されている現在のベンチマーク標準の強化に焦点を当てています。一方で今まで米国の警察署の多くの事件現場対応部隊は、彼らのニーズを日常的に吸い上げることを管理部門が認めておりませんでした。しかし、ISO 17025プロトコルは、事件現場で開始するべきで、証拠が科捜研に届くまで待っているべきではないという暗黙の理解のもと、ますます多くの捜査機関が、事件現場対応部隊による活動の承認を求めるようになり、その考え方は急速に変化しています。

レッゼル氏は、Leica ScanStation C10レーザースキャナーは重要な役割を担うと確信しています。「NASはこれが実現することを望んでいると思います。C10が取得したデータを一目見れば、これが米国の全ての事件現場においてデータをキャプチャーするために使用されることを期待するでしょう。NASは科学的根拠に基づいたフォレンジック(科学捜査)を求めており、それがこれで実現できます。視覚的に確認できるため、取得したデータだけで特別な説明は不要で、この製品は事件現場において次世代のマッピングツールとなるでしょう。」

Written by Tony Grissim

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